ダンマパダこころの清流を求めて

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第一 対[句]の章
YAMAKA VAGGA(THE TWIN VERSES)


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第9・10偈 デーヴァダッタ

前世で黄色い衣を着て象を殺したデーヴァダッタ・・・ 「六根を整え、真実を語る人、その人こそ袈裟衣を着るに値する。」

[偈: Gāthā]
9. 貪欲どんよく などの けが れから はな れられず、 六根ろっこんととの えず、 真実しんじつかた らずに 袈裟けさ ごろも ている ひと、 その ひと 袈裟けさ ごろも資格しかく なし。

[パーリ語: Pali]
Anikkasāvo kāsāvaṁ / yo vatthaṁ paridahissati
Apeto damasaccena / na so kāsāvammarahati.

[英語: English]
Whoever, unstainless, without self control and truthfulness, should don the yellow robe, is not worthy of it.

[偈: Gāthā]
10. [ さと りの ちからで] よご れを して、よく いまし めを につけ、 六根ろっこんととの え、 真実しんじつかたひと 、その ひと こそ 袈裟けさ ごろも るに あたい する。

[パーリ語: Pali]
Yo ca vantakasāv’ assa / sīlesu susamāhito Upeto damasaccena / sa ve kāsāvamarahati.

[英語: English]
He who is purged of all stain, is well established in morals and endowed with self control and truthfulness, is indeed worthy of the yellow robe.

[因縁物語: Story]
※ある日、ひとりの賢い男が、サーリプッタ長老(Sāriputta) の説法を聞いた。そして、たいへん感激したこの男はサーリプッタ長老をはじめ多くの 比丘たちを招いて、自らも布施をなし、又、人々にも布施を勧めた。 その時、ひとりの財産家が、たいへん高価な布施を持参して「もし、布施のお金が足らなければ、 これを売って足してください。その必要がなければ、これを誰かにあげてください」と言った。

結局、布施のお金が足りたので、男は、「この布地を誰に施したらよいでしょうか?」 と皆にたずねると、「サーリプッタ長老に」という声よりも、「デーヴァダッタに」という声が 多かった。そして、その布地はデーヴァダッタ(Devadatta)の手に渡ったのである。

デーヴァダッタは、この布地で豪華な袈裟衣を作り、それを着て比丘の姿となって 「俺は偉いんだ!俺をもっと尊敬しろ!もっと施しをしろ!」と言わんばかりの傲慢な態度で、 人々を威圧しながら町の中をねり歩いた。

この姿を見た比丘が町から帰り、仏陀に報告した。 仏陀は、デーヴァダッタは前世でも同じことをしたと彼の前世について述べられた。

デーヴァダッタの前世は、象を狩るハンターであった。 ある日、ハンターは、森の象が黄色い衣を着た辟支仏(Paccekabuddha)(註①)に出会うと、 敬意を払うためひざまずく習性があることを知った。そこでハンターは、黄色い衣を着て 辟支仏に変装して象の群れに近づき、ひざをまげ、敬意をあらわしている象のスキを狙って 殺したのである。 そして、ハンターは、この方法で多くの象を殺し続けたのである。

仏陀は、「法衣は戒律を守り、篤信高徳な仏陀の弟子の象徴となる人が身に着けるものである」 と説かれたのである。
(第9・10偈の因縁物語)  

※註①「辟支仏(Paccekabuddha)」:一人で悟りを開いた 人。しかし、自ら悟りを開いても、自分が悟った道を世間に悟らせることができない。正自覚者とその教えがない時に現われる。しかし、正自覚者とその教えが現われると辟支仏は現われない。





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