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清浄道論 Visuddhimagga 1-3
戒の解釈 11/14
(Sīla-niddessa)



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清浄道論 Visuddhimagga 1-3
戒の解釈 11/14


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又、次の如くに言われている。-「最上の智慧者の佛弟子は、[涅槃の境地に達して善く修行して善い法話をする] 善逝(=仏陀,Sugata)によりて説かれた法を聞いて、[信者からの施しの]食べ物と僧院と坐臥所と法衣とに付着 している[煩悩の]塵を水で洗い流すことを、繰り返し観察して[受用すべきである」。

「それ故に、食べ物と臥坐所と法衣に付着している塵を水で洗い流す諸法において、比丘は[心が]汚されることが 無い。[ちょうど]ハスの葉の水が[落ちる]が如く。

時に、他人様から[施されて]得た美味しい硬い食物・軟らかい 食物に対して、彼は、常に観察して[適]量を知るべきである。[ちょうど]塗り薬による傷の治療の如く。

[例えば]、砂漠で子供の肉を[食って渡り切ろうとする者の]如く、あるいは[荷車を引く者が]車輪に油を注入する が如く、その如く、[比丘は]食事をする度に[身体の]維持のために[受用していることを]忘れてはならない。

[ 即ち、遊び戯れるために・自分は出家修行者であることを鼻にかけて思い上がるために・美容のために・荘厳の ために非ずである]。

そして、この[生活]必需品(=資具)依止戒を成就することに関して、[サンガラッキタ長老の]甥のサンガラッキタ 沙弥の物語が[例として]語られるべきである。

実に彼は、善く観察をして[食べ物を]受用するのであった。[ そして次の]如く言った、―「たいへんみすぼらしいご飯を食べている私に和尚は、「汝、沙弥よ、実に[自ら 所縁を]想念せずして、舌を焼くことなかれ!」と。

和尚の言葉を聞いて[私は]、[無常・苦・無我・不浄である 自分の身体と心や世間的な幸福などに対して、以前のような喜びや充実感あるいは願望がなくなり、不快感や倦怠 感が生じて厭い嫌いと観る智慧の]厭離[智(註)]を得て、その場所に坐りながら阿羅漢の扉を開いたのである。
(※ 註:Dhp-U.p542、「十観智の第六・厭離智」参考)

[ちょうど]十五夜の満月[を見る]が如く、[空涅槃・無相涅槃・無願涅槃(註1)などの悟りの]思惟を円満にして いる[阿羅漢聖者の]この私は、[欲漏・有漏・見漏・無明漏(註2)という]一切の煩悩(=漏)を滅尽して、今や、 [死後、どの世界にも]生まれ変わることがない[輪廻から解脱した者である]と。※ 註1「空涅槃・無相涅槃・ 無願涅槃」:p124,註③・註④・註⑤参考、
(※ 註2「欲漏・有漏・見漏・無明漏」:p119,註⑤「漏尽者」参考)

《参考》『ダンマパダ』第93詩句:Dhp-U.p124.
    Yassāsavā parikkhīṅā l āhare ca anissito    ll
    Suññato animitto ca l vimokkho yessa gocaro ll
    Ākāse’ va sakuntānaṁ l padaṁ tasaṁ durannayā ll

煩悩(=漏)を滅尽して、[貪欲と邪見による]食事にたよらず、空解脱・無想解脱を心のより所にして[自由な 心境に達した]彼(=阿羅漢聖者)たちの行く処は、ちょうど、空を飛ぶ鳥の如く[凡夫には]、その足跡を観ること はできない。

それ故に、[輪廻の]苦しみを滅尽することを望む他の[出家修行]者も、[自己の内外の現象は無常・苦・無我で あるとあるがままに]観察して、[在家信者から施される食べ物・法衣・臥坐所・薬の]必需品を受用せよ」と。

その如く、戒条(=別解脱)律儀戒[・能力(=根)律儀戒・生活(=活命)律儀戒・必需品(=資具)依止戒]などに よりて四種類となる。以上は、四つの遍浄戒の雑論である。

【参考】『四十業処』:止・観の修習の所縁となる業処、Dhp-U.p532~540.

1.十遍
①地遍、②水遍、③火遍、④風遍、⑤青遍、⑥黄遍、⑦赤 遍、⑧白遍、⑨光明遍、⑩限界虚空遍。
※ 『清浄道論』第四品『地遍の解釈』、第五品『残余の遍の解釈』参考。

2.十不浄
膨張屍、②雑青屍、③漏膿屍、④切断屍、⑤食残屍、⑥散乱屍、⑦切刻散乱屍、⑧血塗屍、⑨蛆充満屍、⑩骸骨屍。
※ 第六品『不浄業処の解釈』参考。

3.十随念
仏随念、②法随念、③僧随念、④戒随念、⑤捨随念、⑥天随念、⑦寂止随念、⑧死随念、⑨身随念、⑩入出息随念。
※ 第七品『六随念の解釈』、第八品『随念業処の解釈』参考。

4.四梵住
慈の修習、悲の修習、喜の修習、捨の修習。
※ 第九品『梵住の解釈』参考。

5.四無色
空無辺処地、②識無辺処地、③無所有処地、④非想非非想処地。※ 第十品『無色の解釈』参考。

6.一想
四種の食:段食、触食、意の思食、識食。一想の十行相。※ 第十一品『禅定の解釈』 〔1〕食厭想の修習、参考。

7.一差別
自分の身体が地・水・火・風などの四要素からなると観察する四界差別のことである。
※ 第十一品『禅定の解釈』〔2〕四界差別の修習、参考。

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