ホーム>ダンマパダ本文【WEB閲覧】>ダンマパダ1巻>第3章
第三 心の章
CITTA VAGGA(MIND)
ダンマパダ_目次(全体_各章)
※↑は、全体目次(この章から離れます)
章内の目次は、↓の灰色のボタン「目次第〇章」
第35偈 ある一人の比丘
まず自分の心の中にいる悪魔を征服せよと励まされたのである・・・
【偈: Gatha】
35. 捕
らえ難
く、迅速
で 欲
するところに飛
んで行
くその心
を、制御
することは、善
いことである。
よく制御
された心
は、安楽
をもたらす。
【パーリ語: Pali】
Dunniggahassa lahuno / yatthakāmanipātino
Cittassa damatho sādhu / cittaṁ dantaṁ sukhāvahaṁ.
【英語: English】
This mind is hard to check, swift, settles wherever it likes : to control it is good. A controlled mind is conductive to happiness.
【因縁物語: Story】
※ある雨季の頃、六十名の比丘たちが山ふもとの部落にやってきた。
部落の頭領の母親であるマーティカマーター(Mātikamātā)は、
この六十名の比丘のために食べ物や日常生活に必要ないろいろなもの
を施したり、僧院を建てたりして、お世話をしていた。
そして、比丘たちに正しい瞑想方法についてたずねた。そこで比丘たちは、彼女に
「三十二観察」(註①)や「四念住観」(註②)などの瞑想方法を教えた。
マーティカマーターは、教えられた瞑想を一生懸命行った結果、ついに、まだ六十名の比丘たちも到達していない悟りの第三段階である不還
(Anāgāmi)を得ると同時に、天眼(Dibbacakkhu)という神通力も身につけたのである。
彼女は、新しく身につけた神通力で六十名の比丘たちを見ると、
全員、悟りの第四段階である阿羅漢(Arahat)を得る潜在能力をもっており、
栄養バランスのとれた正しい食事さえとれば、それに到達できると洞察したのである。
そして、修行中の六十人の比丘たちは、マーティカマーターが準備した食事と彼ら自身の努力によって、
まもなく全員が阿羅漢の悟りを得たのである。
六十人の阿羅漢たちは、彼女にお礼を言い、仏陀のところへ帰って行った。
そして、仏陀にマーティカマーターのことを報告した。
その報告を聞いた一人の比丘が、はるばる彼女をたずねた。
マーティカマーターは、いつものように比丘が望んでいるものを満たしてあげようと、
この比丘を見つめた。
その時、比丘の心の中に悪い考えが生
まれ、それを彼女に見透かされるのを恐れて、あわててその場を逃げ去った。
そこで仏陀は、この比丘に、まず自分の心の中にいる悪魔を征服せよと励まされたのである。
(第35偈の因縁物語)
※註①「三十二身分観想」
この身体には、
(1)髪、(2)毛、(3)爪、(4)歯、(5)皮、(6)肉、
(7)筋、(8)骨、(9)骨髄、(10)腎臓、(11)心臓、(12)肝臓、(13)肋膜、
(14)脾臓、(15)肺臓、(16)胃、(17)腸、(18)胃の中のもの、
(19)大便、(20)脳髄、(21)胆汁、(22)痰、(23)膿汁、(24)血、
(25)汗、(26)脂肪、(27)涙、(28)血清、(29)唾、(30)鼻汁、
(31)関節滑液、(32)小便がある。
足の裏の上から、髪の先の下まで、このようないろいろな不浄で覆われた身体の三十二身分を、
繰り返し、繰り返し観察すれば、
やがて、貪欲などの煩悩が次第に離れていき、初禅の境地にいたる。
(Dvattiṁsākāra)
Atthi imasmiṁ kāye
(1)Kesā, (2)lomā, (3)nakhā, (4)dantā, (5)taco,
(6)maṁsaṁ, (7)nhāru, (8)aṭṭhi, (9)aṭṭhimiñjaṁ,
(10)vakkaṁ, (11)hadayaṁ, (12)yakanaṁ, (13)kilomakaṁ,
(14)pihakaṁ, (15)papphāsaṁ, (16)antaṁ, (17)antagunaṁ,
(18)udariyaṁ, (19)karīsaṁ, (20)matthaluṅgaṁ,
(21)pittaṁ, (22)semhaṁ, (23)pubbo, (24)lohitaṁ,
(25)sedo, (26)medo, (27)assu, (28)vasā,
(29)khelo, (30)siñghāṇikā, (31)lasikā, (32)muttaṁ.
※註②「四念住観」
最も重要な仏典の一つであると言われている「Mahāsati-paṭṭhāna sutta」
(大念住経)に説かれている。
それには、命あるものを清め、憂い、悲しみ、悩み、苦しみを
取り除き、正しい悟りに導く唯一の道が四念住観であり、
①身(Kaya)、②受(vedanā)、③心(citta)、④法(dhamma)
とそれぞれに念を集中させて行き、次に五つの障害の法
(五蓋)から最後に四つの聖なる真理(四聖諦)
を如法に観察して涅槃を得ることができる、と説かれている。
※①②について、やさしい日本語で説明された書籍とし
て「南方仏教基本聖典」(ウ・ウェープッラ世界平和パゴダ僧院長著・中山書房仏書林)
と「南方上座部仏教のおしえ」(ウージョターランカーラ著)がある。
※このページは【ダンマパダ本文】です(関連ページも含む)。
以下のボタンで、他ページに移動できます。