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清浄道論 Visuddhimagga 1-1
因縁などについての論
(Nidānādi-kathā)



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清浄道論 Visuddhimagga 1-1
因縁などについての論 2/2


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[過去世・現在世・未来世と限りなく続く]輪廻[転生]の恐怖を観るということで比丘である。 「彼はこの[輪廻に縛り付ける]結縛を粉々に破壊して[解脱することが出来るの]であろうか?」

(So imaṁ vijaṭaye jaṭan)とは、
①この戒めと、
②この心の代表によりて説明されている禅定と、
③生得智・
④観智・
⑤一切の為すべきことに向かう応用智のこの三種類の智慧と、[更に]
⑥この[煩悩を取り除くことに]熱心に努力する
との[これら]六つの法が完全に備わっている比丘[を意味する]。

例えば、男子が大地を足場にして[しっかりと立って]、
たいへん鋭い刀を振挙げて、
大きな竹藪を[次から次へと]粉々に切り裂くが如く、 実にその如く、戒めという大地と禅定という石[の基盤]の上に[自分をしっかり確立させて]、
たいへん鋭い観の智慧の刀を精進の力によりて奮い立たせ、
[四つの聖なる真理の観察に]相応する智慧という手を振り挙げて、
[この世に生まれて来た時から]自分の相続に入っている渇愛の結縛の一切を粉々に切断して、 破壊すべきである[という意味である]。

そして彼は、実にこの[輪廻に縛り付ける]結縛(jaṭā)に[打ち勝ち捨断して、 涅槃を所縁とする聖]道(ariya-magga)の刹那において[順次に]切り離す。

[預流・一来・不還・阿羅漢という悟りの各段階において]結縛を破壊し続ける[聖]者は、 [聖道の後で繰り返し涅槃の静けさを味わう聖]果(ariya-phala)の刹那において、 [神々が住む]天界をも含めた[一切]世界の最上の供養されるべき人(aggadakkhiṇeyyo)となる。

それ故に、世尊(=仏陀)は、[次の如く]説かれたのである。

- 「戒めの足場を[しっかり固めること]によりて智慧を有する人は、 心と智慧とを修習する。[煩悩を燃やし尽くして渇愛を取り除くことに]熱心に努力する智慧者の比丘の彼は、 この[輪廻に縛り付ける]結縛を粉々に破壊して解脱するであろう」、と。

その[詩偈]には、かの智慧によりて智慧を有する人と説かれている。

この智慧とは、[現世において]為されたものではない。

[過去世における原因として存在した潜在的な]業の力によりて[現世における結果として]、 実に[三因者の]彼にはその[智慧]が既に完成されていたものである。
(※ 前記「三因者」参考)

「[煩悩を燃やし尽くして渇愛を取り除くことに]熱心に努力する」(Ātāpī nipako)とは、 ここに説かれる精進によりて、忘れずに[止の修習・観の修習を]修行する[比丘](sātaccakārinā)であり、
又、[縁起の道理の中の
①過去世の原因と現在世の結果を接ぐもの、
②現在世の結果と現在世の原因を接ぐもの、
③現在世の原因と未来世の結果を接ぐもの
という三つの連結を正しく理解できる]智慧によりて、 [輪廻転生について]正しく観察する行者(=正知行者,sampajānakārinā)となりて、
「戒め」を足場にして
「心」と「智慧」によりて[輪廻からの解脱に向かって] 止・観(samatha-vipassanā)を修習すべきであると[いう意味である]。

これは、世尊(=仏陀)の自らの[体験を基にして]、 戒め(sīla)・禅定(samādhi)・智慧(paññā)の門によりて 『清浄への道』を示されたのである。

実に、[次の]ように[説かれている]。

- 
①[戒め・禅定・悟りの智慧の]三学、
②[初め・中・後の]三種の上手な教え、
③[宿住智・天眼智・漏尽智の]三明などの強い要因、
④[対立する]二つの極端な立場の回避と中道に親しく近ずく、
⑤[阿修羅・餓鬼・畜生・地獄の欲界]悪趣[地]などを超越する方法、
⑥[無常・苦・無我の]三つの行相による煩悩の捨断、
⑦[戒めの]違犯などの対冶、
⑧[貪欲・怒り・愚痴の]三[毒]に汚染された[心を]浄化する、
⑨[悟りの]流預果などの状態の要因についても説明されたのである。

一体どのように[説明されたのか]?

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