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清浄道論 Visuddhimagga 1-3
戒の解釈 9/14
(Sīla-niddessa) 
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清浄道論 Visuddhimagga 1-3
戒の解釈 9/14
        
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伝えて曰く、マハーヴァッタニの森において盗賊たちが一人の長老を黒いカズラ草で縛り[大地に]倒した。
 
[大地に]倒された長老は、七日間、[身体・感受・心・法に関する四つの念随観によって名色を無常・苦・
無我・不浄と観る智慧の]ウィパッサナー(=観, vipassana,註1)を修習して、[悟りの段階の]不還果に
達して、その境地のままで命を終えて[死後、色界初禅地の]梵[天]界(註2)に生まれ[変わったのである]。
(※ 註1:Dhp-U.p103~p105、「四念住経」参考 ※ 註2:Dhp-U.p261、「色界」-初禅地、参考)
あるいは又、セイロン島(Tambapaṇṇidīpa)において、[別の]長老が[盗賊たちによって]プーティ蔓草で
縛られ[大地に]倒された。彼は、山火事が近ずく中で蔓草を切ることもなく、ウィパッサナー(観)[の修習を
]始めた。そして[すぐに涅槃を得て]阿羅漢聖者(=等首者)となり、[死後、どの世界にも生まれ変わらない
]完全涅槃に[入ったのである]。
[その場所に、パーリ五部の]長部[経典]を誦えるアバヤ(=無畏)長老が、
五百人の比丘たちと共にやって来て[その長老の遺体を]発見して、長老の遺体を荼毘に付して塔を造らせた
のである。それについて、信仰のある別の善男子が[言った]。
- 「例え、命を断つと雖も、戒条を清めな
がら世界の救世主(=仏陀)によりて制定された「戒の律儀」を破るべからず。」[と]。
【四つの遍浄戒についての雑論 その[2] 能力(=根)律儀戒の成就】
又、戒条(=別解脱)律儀を信じる、その如くに[自ら]意識して「能力(=根)律儀」(indriya-saṁvara)を
完成させるべきである。
実にその[能力律儀]は、忘れずに意識するもの(=念)にして、忘れずに[自ら]意識
することによりて確立された[眼・耳・鼻・舌・身の]諸々の能力(=根)は、貪欲などが流れ込むるべきもの
ではない。それ故に、「[今から述べることは]最上たるものである。
比丘たちよ、例えば、熱せられ燃えて輝く鉄製のヘラが眼の処に触れて[盲目となる]と雖も、[その結果]、
眼による認識主体(=眼識)において、いろいろな姿・形(=色(イロ))の相に従がって[美しい男女などの]相を
取ることがない。
[何故ならば、見えないからである]」などの表現をもって「燃える火の教え」
(ādittapariyāya)をよく随念して、[外面的な]いろいろな姿・形(=色(イロ))などの所縁が眼の門など[の
視野]において[感官能力と所縁とが互いにぶつかり合って]起きる[認識主体の]識(viññāṇa)が、[男女の
美しい]相などを取ることは、貪欲などが流れ込むことである。
[しかし、不浄観などを]忘れずに意識して[
煩悩を]防ぎ、この[能力(=根)の律儀]を十分にしっかりと最後まで成し遂げるべきである。
その如くの[能力(=根)律儀]がしっかり完成していない時は、戒条(=別解脱)律儀戒も又、長い時間、
[貪欲などの過失を]抑制することがなく、[身・口による過失、あるいは悪行を防止する働きが]長く持続しない。[ちょうど]木の枝に囲まれ警備が整えられていない穀物の如くである。又、[例えば]、村の入り口の門を開けっ放しにしている場合、人の物を奪い取る[盗賊たち]の如く、この煩悩の盗賊たちによりて[戒条(=別解脱)律儀戒は]害されるのである。又、悪く葺かれた家[の屋根]に雨が漏れるが如く、[彼の]心に貪欲が貫通するのである。
又、実にこのように言われたのである。- 「色と声と、又、味において、又、香と触れるにおいて、
[その]感官能力(=根)を[貪欲などから]守るべきである。
これらの門が、開けっ放しで守られていなければ、
[ちょうど、盗賊たちが]村で人の物を奪い去るが如く、[煩悩という盗賊たちによりて比丘は]害される人
となる。
「例えば、粗末に屋根を葺いた家に雨漏りがあるように、[止と観の]修習(註1)のない心に貪欲が
貫通する」と。
(※ 註1:Dhp-U.p18、「第十三詩句」参考)
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