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清浄道論 Visuddhimagga 1-3
戒の解釈 11/14
(Sīla-niddessa)


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清浄道論 Visuddhimagga 1-3
戒の解釈 11/14


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受用時における四つの決定論 ②借金としての受用】
戒めを具足する[比丘]が、[ちょうど大幻術者の如く、人間存在という幻を生じさせる性質の基礎的な要素の界(dhātu)によりて色(rūpa)を観察しない、 あるいは無常・苦・無我・不浄である自己の身体と心や世間的な幸福などに対して不快感や倦怠感が生じて厭い嫌い(paṭikūla))によりて]観察しない受用は、 借金としての受用(iṇaparibhoga)という。

それ故に、法衣は受用するたびに[このように正しく]観察すべきである。食べ物は一口食べるたびに[不浄な身体を 維持するために食べるということを正しく観察すべきである]。

その如くに[観察が]出来ない者は、食前・食後・初夜(18:00~22:00)・中夜(22:00~04:00)・後夜(04:00~06:00,註)において[観察すべきである]。 (※ 註:p201、註①参考) 

もし、[正しく]観察出来ずに夜が明けて[太陽が]昇ったならば、借金としての受用の状態である。 [起きて半畳寝て一畳の]臥坐所も、 受用のたびに[暑さ・寒さ・蚊・毒蛇などを防ぐために受用すると正しく]観察すべきである。

薬は受け取る時にも、受用する時にも、[既に発病している病気の苦痛を取り除くためだけの受用と]忘れないことに縁りて[観察するのが]正しい。その如くの[受用]と雖も、 受け取る時、[病気の苦痛を取り除く点を]忘れず、受用の時に[これを忘れれば]罪がある。

しかしながら、受け取る時[これを]忘れても、受用の時に[忘れて]いなければ、 罪とはならない。

実に、[借金としての受用を清算する方法として]説示による浄化・律儀による浄化・遍く求めるによる浄化・観察による浄化の四種類の浄化がある。

《借金としての受用を清算する方法、1.説示による浄化》
その中で、説示による浄化(desanāsuddhi)は、実に戒条(=別解脱)律儀戒となる。それは、実に[仏陀の]説示によりて浄まるが故に、説示による浄化と言われる。

《借金としての受用を清算する方法、2.律儀による浄化》
律儀による浄化(saṁvarasuddhi)は、実に能力(=根)律儀戒となる。即ち、それは、「[私は]再びその如きことをしない」と心で決意して守ることによりて浄まるが故に、 律儀による浄化と言われる。

《借金としての受用を清算する方法、3.遍く求めるによる浄化》
遍く求めるによる浄化(pariyeṭṭhisuddhi)とは、実に生活(=活命)遍浄戒である。それは、[出家生活における必需品に対する]貪り求めることを捨てて、「法(=教え)」 (dhamma)と「正しい[修行]」(samana)とによりて必需品を得る[比丘]が、[悟りの聖道を]遍く深く求めることによりて[心が]浄まるが故に、遍く求めるによる浄化と言われる。

[具体的に説明すれば、輪廻転生には、①過去の原因より現在の結果を接ぐもの・②現在の結果より現在の原因を接ぐもの・③現在の原因より未来を接ぐものという三連結があり、 過去世の無明・渇愛によりて現在世に生まれて来た人間は、生まれて来た時から煩悩を有することを自覚して、「此れがなければ彼はない・此れが滅するが故に彼は滅する」 という縁起の道理を理解して、現在においてこの無明・渇愛を少しずつ薄めて行くことという原因を作ることに集中して、やがて[その結果として]未来において滅尽させる。
死後、どの世界にも転生しないことが仏教の究極的な目的である。

そのために、今、止の修習によりて心を精神統一させて煩悩などを静めて行き、次に、観の修習の中の随順智(anuloma ñāṇa)によりて自己の内外の現象は無常・苦・無我であると 随観して(註1)、更に種姓智(gotrabhū - ñāṇa)によりて涅槃を所縁とする速行作用を行ない(註2)、最後に智見清浄(ñāṇa -dassana-visuddhi)によりて四つの聖なる真理を 観察することによりて諸々の煩悩を殺して行く聖道を遍く求める、聖道作用はこの智見清浄のみにおいて行なわれる(註3)などによりて、心が清浄となるのである]。
(※ 註1「随順智」:『清浄道論』第二十一品『行道智見清浄の解釈』、※ 註2・3「種姓智」「智見清浄」:第二十二品『智見清浄の解釈』参考)

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